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「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」夢枕獏

お知らせ

2018年02月22日

日中合作の映画「空海」が近々封切になると聞き
これは原作を読まなくちゃと
「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」の1を買いました。
しばらく忘れていて1週間前に読み始めたところ
まあ、すごく面白い。
これは残りの2~4までも買わなくちゃと
雪の中、コムズの本屋さんに走りました。
夢枕獏ってバイオレンス、SF、妖怪……をミックスしたようなものかと思って、食わず嫌いでした。

「沙門空海……」は
空海が唐で活躍する話です。
妖怪も少し出てきますが
歴史物語のようです。
辻原登の「翔べ麒麟」に似ているような気がしました。
「翔べ麒麟」には妖かしの類は出てきませんでしたが。
空海、橘逸勢が遣唐使船で唐へ向かうところから始まります。
空海の長安滞在当時の登場人物が
空海、橘逸勢、白楽天、柳宋元、韓愈、恵果阿闍梨……
50年ほど前の登場人物が
玄宗皇帝、楊貴妃、阿倍仲麻呂、李白……
豪華なオールスターです。
爛熟期の唐は先進国で、日本はさぞかし田舎の後進国だったことでしょう。
空海と橘逸勢は
ヨーロッパに留学した鴎外・漱石のような立場かな?
この二人は名コンビで
「陰陽師」でいえば安倍清明と源博雅みたいです。
空海はスーパーマンですが、実は橘逸勢に救われているところもあり
得難い相棒ではないでしょうか。

悪役の胡人(ペルシア人?)も出てきますが
それなりの理由もあり、
登場人物それぞれに切ない思いが通奏低音のように響きます。

映画も見に行かなくっちゃ!!

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